現場水位低下へ緊急放流、上流のポンプ場から 八潮市道路陥没 マイクリップに追加
埼玉県八潮市内で発生した道路陥没事故を受け、県では陥没現場へと流入する汚水量を減少させるため、1月29日23時20分頃、上流にある汚水中継ポンプ場から河川への汚水の緊急放流を開始した。
緊急放流を行う春日部中継ポンプ場は、陥没現場から北に約15kmに位置する。同ポンプ場には、春日部市のほか、幸手市、杉戸町、宮代町からの汚水が集まる。28日から準備が進められ、新方川につながるポンプ場前を流れる農業用水路から汚水の緊急放流が行われている。
放流に当たっては、水路内に設置したビニールシート上に固形塩素を投入するなどの応急処理を施すほか、新方川の下流に位置する昭和橋などの3地点で毎日採水を行うことで水質をモニタリングする。
新方川は下流で中川と合流するが、中川から取水している県営の浄水場はないため、県は飲用水への影響はないとしている。また、工業用水については柿木浄水場では中川から取水を行っているため、放流により原水の水質に影響が生じた場合には、水道用薬品の注入を強化して対応する。
同ポンプ場には、毎日約10万㎥の汚水が流入。うち、今回の緊急放流によって、1万㎥/日の下流への流入を防いでいる。現在はポンプ3台で対応している。
またこうした対応に伴い県企業局では1月31日から、水路の水質や周辺地域への臭気等の影響を可能な限り最小限に抑えるため、県下水道局の要請を受けて浄水による希釈を開始した。
希釈水には、庄和浄水場の浄水を使用。受水事業体への送水経路上に同農業用水路へ捨水するためのドレン管が従来から設けられており、これを活用した放流によって水路の水量を増やし、汚水の希釈を図っている。
このほか、陥没現場上流に位置する県管理の流域下水道や草加市の公共下水道のマンホール5カ所から汚水をバキューム車で吸い上げ、中川水循環センターへと搬送する対応も行われている。
これらの対応は、県からの要請に基づき管清工業、三栄管理興業、三栄興業の3社JVが共同で汚水搬送作業を行っている。現在、全国組織である日本下水道管路管理業協会としての応援体制の構築、全国からの維持管理業者の動員を視野に検討が進められている。