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分散型システム対象事業を採択、地域のレジリエンス向上に寄与 国交省 ABーCross マイクリップに追加

 国土交通省上下水道審議官グループは、令和7年度「上下水道一体革新的技術実証事業」(ABーCross)で実規模実証を行う「分散型システム」の対象事業を採択した。

 採択事業は①中山間部における分散型水循環システムの実証研究(実施者=ゼオライト・造水促進センター・信州大学・日本水工設計・長野県喬木村共同研究体)②小規模水道におけるハイブリッド小型緩速ろ過システムの実証事業(実施者=NJS・天草市・中川村共同研究体)――の2件。

 ①は、飲料水供給・汚水処理・雑排水再利用一体分散型システムの信頼性やLCC、運用性などを人口減少地区の村営施設をフィールドに実証するもの。飲料水の生成に当たっては、実証フィールドで想定される窒素系成分などを極超低圧の新規複合RO膜を効率的に除去する。雑排水はMBRとRO膜で飲料水適合基準まで浄化し、排水量の80%を再利用可能とすることにより、浄化槽の規模縮減も図る。システムはコンテナ収納のため、災害時等における移設が容易であり、地域のレジリエンス向上にも寄与する。

 ②で用いる「ハイブリッド小型緩速ろ過システム」は、緩速ろ過槽のほか、高濁度原水対応のための上向流粗ろ過槽、生物活性炭、紫外線処理装置を組み合わせることで幅広い原水水質に対応できる。本事業では、原水水質が異なる複数のエリアをフィールドとして浄水処理の確実性や維持管理性などを検証する。併せて、小規模浄水場における緩速ろ過方式の導入可能性についても同システムで実証実験を行う。

 なお、分散型システムについては、令和6年能登半島地震からの創造的復興に資する観点から6年度補正予算分のABーCross(実施者=WOTA・珠洲市共同研究体)においても実規模実証が進められている。

 実証を通して得られた知見やデータによる分析・研究の成果は、報告書として取りまとめる。

 履行期間は、令和8年3月31日まで。


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