東亜グラウト工業、JICA案件化調査に採択 モンゴルで管路更生事業化を模索 マイクリップに追加
維持管理での貢献に活路
東亜グラウト工業(山口乃理夫社長)は、モンゴル国における管路更生(光硬化工法)と下水熱有効活用の事業化に関する案件化調査に取り組んでいる。
国際協力機構(JICA)のビジネス化調査事業として昨年から実施しているもので、昨年9月から計4回現地を訪問し、パートナー機関であるウランバートル市上下水道公社(USUG)やモンゴル国立大学の関係者への聞き取り調査や技術提案などを通じ、同国首都ウランバートル市での事業化の可能性を模索した。
本格的に管路更生の機運が高まる前に、維持管理を含めた周辺領域で活躍の場が見込めるとの手応えを掴んだほか、現地大学機関との関係強化に大きな収穫が得られたようだ。
現在放映中のドラマ「VIVANT」のロケ地にもなっているセントラルタワーやスフバート広場があるウランバートル市は、ここ20数年で人口が2倍以上となるなど都市化が急激に進展。交通量も飛躍的に増え、原則として開削工事による老朽管の布設替え等の対応が困難になっている。近年、徐々に下水道管路の老朽化が顕在化する中で、有効な非開削手法として管路更生に着目するとともに、冬季にはマイナス30度以上に見舞われる厳寒地ということからも管内下水熱利用が行えないかというのが今回の案件化調査の出発点。
同社が実施権者として保有する光硬化工法は、厳寒地施工に適している点、施工時間短縮を極め、周辺交通への影響を最小限に抑えている点、応用技術として管内下水熱利用システムの提案もできる点などからもニーズに合致する。正式な調査報告書は、来年改めて公表される。
今回の案件化調査のメインである管路更生や下水熱利用の事業化については検討中だが、直近の第4回調査で現地を視察した山口社長は大きく2点で成果が得られたと述べる。1点目が維持管理手法の提案だ。「目先の改築や緊急対応ではなく、まずは計画的な資産管理の考えを促すべく点検・調査・診断から定着させる必要がある。その上でわれわれとしてはアイスピグ(管内洗浄工法)やアステラ(漏水スクリーニング調査)など高度な維持管理技術・システムを(FSとは別で)提案する余地があるように感じた」と語る。
2点目が現地大学機関との関係構築だ。「将来的に同国でビジネスを模索するには、現地の優秀な高度技術人材が起点となる。例えば、彼らを日本に招聘し維持管理技術や管路更生を学んでもらうことで、将来的にモンゴルで事業化する際に活躍してもらえるようなことも描ける。今回の調査でモンゴル国立大学の関係者と交流を持てたことで、そうした視界がより鮮明に開けた」と意気込む。
日本国内では地域再生・地方創生への貢献を掲げさまざまなインフラ分野への進出、貢献領域の拡大を進めている同社だが、新たな伸長の芽として海外事業についても引き続き注力していく考えだという。