【八潮市道路陥没】汚水を緊急放流、現場水位低下急ぐ
埼玉県八潮市内で発生した道路陥没事故では、現在も落下した男性1人の救助活動が続けられている。この中、県では陥没現場への流入汚水量を減少させるため、29日23時20分頃、上流にある汚水中継ポンプ場から河川への汚水の緊急放流を開始した。
緊急放流を行う春日部中継ポンプ場は、陥没現場から北に約15kmに位置する。同ポンプ場には、春日部市のほか、幸手市、杉戸町、宮代町からの汚水が集まる。昨日から準備が進められ、新方川につながるポンプ場前を流れる農業用水路から汚水の緊急放流が行われている。
同ポンプ場には、毎日約10万㎥の汚水が流入。このうち、今回の緊急放流によって、1万㎥/日の下流への流入を防いでいる。なお、同ポンプ場では29日午前11時から汚水吸引車による中川幹線への汚水の移送も継続して行っている。
放流に当たっては、水路内に設置したビニールシート上に固形塩素を投入するなどの応急処理を施すほか、新方川の下流に位置する昭和橋で毎日採水を行うことで水質をモニタリングする。
新方川は下流で中川と合流するが、中川から取水している県営の浄水場はないため、県は飲用水への影響はないとしている。また、工業用水については柿木浄水場において中川から取水を行っているため、放流により原水の水質に影響が生じた場合には、水道用薬品の注入を強化して対応するという。
陥没事故を巡っては、県では国土交通省国土技術政策総合研究所、日本下水道事業団、日本建設業連合会、埼玉県建設業協会の協力を得ながら、今後の対応方針を検討している。29日14時頃には上空からのドローン調査と地中レーダーによる路面下の空洞調査を実施していた。今回の緊急放流では、関東地方整備局の協力を得て、その準備を進めていた。