バイオガス増産・純度向上 バイオメタネーション、応用研究に採択 マイクリップに追加
大阪ガスら4者
大阪ガス、京都大学、NJS、大阪市の産官学4者は、下水処理場で発生するバイオガスを活用したバイオメタネーションのフィールド試験に取り組む方針を明らかにした。バイオガス中の未利用資源であるCO2を活用し、バイオガス発生量増産と純度向上につなげる試み。国土交通省の令和4年度下水道応用研究に採択されている。脱炭素化推進の新たなシステムとして実用化に向けた基礎技術の確立が望まれる。
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メタネーションは、二酸化炭素と水素からメタン(合成メタン)を合成する技術。再生可能エネルギー由来水素とCO2を組み合わせて生成するためカーボンニュートラルメタンと見なせること、天然ガスの代替エネルギー源として活用し得ること等が示されるなど、エネルギー分野における脱炭素化の一手法として、メタネーションが注目を集めている。メタネーションの手法は複数存在するが、その一種、バイオメタネーションは、生物反応を用いて水素とCO2からメタンを合成する手法を指す。
従来、下水処理場では下水汚泥の減容化の一環として汚泥消化を取り入れているが、この副産物としてバイオガスが発生する。このバイオガスの主な成分は6割がメタン、4割がCO2。通常の汚泥消化では、このCO2は余剰ガスとして排出されるが、バイオメタネーションにおいては貴重な未利用資源となる。大阪ガスではこの余剰CO2に着目し、下水汚泥由来バイオガスを用いたバイオメタネーションの技術開発を進めていた。
フィールド試験では、下水汚泥からバイオガスを生産するのと並行して、バイオガス生産の過程で発生する余剰CO2を効率的に活用し合成メタンを生成する新技術を開発する。メタンガス発生量を3倍に増加させつつ、バイオガス中のメタン濃度を85%以上に高めることができると見ている。
フィールド試験は、大阪市海老江下水処理場内に実規模の2000分の1程度の試験装置を設置する。今年度は下水汚泥と水素を用いてメタン合成を確認する。来年度からは下水汚泥と水素に加え、乳酸も装置内に添加し、バイオメタネーションを試みる。役割分担は、大阪ガスがフィールド試験を、大阪市が試験サイトと下水汚泥の提供を、京都大学が実用規模を想定したシミュレーションを、NJSが環境性評価を行う。