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熱利用と更新、独創性を評価 ヒートライナー工法、新エネ大賞財団会長賞受賞 マイクリップに追加

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  • 導入状況(小諸市)
  • 下水熱を効率的に回収

 一般財団法人新エネルギー財団の「新エネ大賞」受賞案件がこのほど発表され、東亜グラウト工業(山口乃理夫社長)が開発した「ヒートライナー工法」が新エネルギー財団会長賞(導入活動部門)を受賞した。

 下水道本来の役割・機能である汚水排水・処理だけでなく下水熱を回収するという新たな付加価値を組み込んでいる点、老朽管路の更新機会を利用して普及できる点など独創性の高さが高く評価された。過去10年で最多となる60件の応募があり、下水道関連としては唯一の受賞。

 新エネ大賞は、新エネルギーの一層の導入促進と普及および啓発を図ることを目的に創設された表彰制度で、新エネルギーに係る商品および新エネルギーの導入・普及啓発活動を広く募集し、そのうち優れた技術や取組み事例を部門別に表彰する。

 受賞を受け、同社の山口社長は「ヒートライナー工法は過去にも複数の機関から受賞を果たしており、このたびの受賞も大変喜ばしいこと。未利用エネルギー利用普及と老朽化した下水道管の更生を同時に叶える独創的な工法として評価された。同賞の受賞を励みにヒートライナー工法のさらなる普及に尽力し、社会へ貢献していきたい」と想いを語った。

 ヒートライナー工法は下水熱の回収システムと管路更生技術(光硬化工法)を組み合わせたハイブリッド技術で、管底部に採熱管を布設した後に管内面をライニングすることで老朽化対策と熱交換器の設置を同時に行える仕組み。ヒートポンプ等の熱源として下水熱を利用することで、通常よりも電力消費量を抑えることができ、環境負荷やランニングコストの低減などの効果が見込まれる。

 下水熱は、年間を通じて安定した水温であることに加え、都市域に張り巡らされた管網から豊富に供給できる点が特長で、都市に眠る未利用エネルギーとしてその利活用が検討・議論されてきた。こうした潮流に呼応し、同社は下水熱利用の先駆者として、北海道・東北・北陸・中部地方の11現場にて給湯・空調・ロードヒーティング熱源用途で下水熱利用事業を手がけてきた。

 下水道事業においても脱炭素社会への貢献が志向される中、エネルギー消費削減、温室効果ガス排出抑制に寄与する技術への注目は高まる。今後各自治体でゼロカーボンシティ構想が立ち上がる中で、その実現を支える技術の一つとして導入検討が進むことが期待される。

 なお、ヒートライナー工法の受賞歴としては、「ジャパン・レジリエンスアワード2016(優良賞)」「平成30年度環境賞(優良賞)」「第2回インフラメンテナンス大賞(技術開発部門優秀賞)」「平成30年度省エネ大賞(製品・ビジネスモデル部門中小企業庁長官賞)」「第3回エコプロアワード(優秀賞)」に続いて6回目。


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