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エアレーション 「東ティモール産業育成」小川尚(カンツール社長) マイクリップに追加

 5月、東ティモールに排水管・下水道維持管理業を根付かせる目的で訪れた。GDPが19億9200万ドルと世界189カ国中173位で失業率は50%を超えるこの国の早急の課題は雇用の創出、すなわち産業の育成である。

 このプロジェクトは、古くから豊かな湧水とともに発展してきた福井県大野市から発信された。「水を通じて世界とつながり、助け合い、分かち合う」をスローガンとして始まったのが「Carrying Water Project(CWP)」。水の可能性や魅力を世界に向けて広く発信しようと呼びかけたところ、管清工業が賛同し、現地にCWPグローバルという民間会社を設立した。

 弊社もこのプロジェクトに必要な機材を提供した。具体的な活動は、人材育成から始まった。1月、東ティモールから1名の職業訓練校の先生と2名の研修生が来日し、2カ月間マンツーマンで徹底的に下水道の基礎知識や清掃作業を伝授した。

 5月、「東ティモール国立職業能力開発センター」を訪れ、弊社の製品がどのように使われ、どんな仕事に結びつけられるかを共に検討した。そのうち2名は、6月末まで現地に滞在し、育成に当たった。10月には研修用の配管モデルの製作のため、現地を訪問する。今後は研修生を定期的に受け入れる方針だ。

 社会インフラの整備や機材を提供する日本の海外援助は、管理や人材の育成に踏み込めず時間の経過と共に忘れられてしまうケースもある。管清工業は今回のプロジェクトを実施するに当たり、長いスパンで30年間は協力することを申し出ていた。

 この活動を東ティモール大統領も知ることとなり、管清工業社長とCWPG代表が大統領と謁見した。民間企業との面談はあまり例のないことで、この国がいかに雇用創出に力を注いでいるか、日本企業に期待しているかがうかがわれる。弊社も9月在日東ティモール特命大使にお越しいただく名誉に与った。

 国際貢献の一助となればとても幸せなことである。

    


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