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第三者機関検討に着手 下水協、年内取りまとめ目指す マイクリップに追加

9日に開かれた第1回会合

 ウォーターPPPをはじめ政府全体で下水道事業への官民連携の導入を推し進める中、発注者である地方公共団体と、受注者となる民間企業との間に立ち、その履行が適正に行われているかなどを評価する第三者機関の設立に向けた議論が9日、日本下水道協会が設置する下水道事業におけるモニタリング機関のあり方検討会で始まった。

 検討会では、学識者に加え、ウォーターPPPに先進的に取り組む地方公共団体と、コンセッションや改築を含む包括的民間委託を手掛ける民間企業らを委員に迎えた。座長には浦上拓也近畿大学教授が就いた。

 ウォーターPPPの導入が令和9年度からの汚水管改築への補助要件となるなど、今後地方公共団体での導入拡大が見込まれる中、そのモニタリング体制の拡充が必要となっていた。一方で、客観的な評価項目や基準の設定、モニタリングに対応する官民双方への負担、性能発注の考え方などモニタリングの実施上、官民双方で課題もあった。

 今回の検討会では、下水道事業を実施する全ての地方公共団体と、全国上下水道コンサルタント協会、下水道施設業協会、下水道施設管理業協会、日本下水道管路管理業協会の会員でPPP/PFIの実績を有する企業を対象に、ウォーターPPPの実施に当たっての課題、モニタリングを実施する上での問題点、これを担う機関の必要性などについてアンケート調査を実施する。

 この結果を基に、モニタリングのあり方や、第三者機関の必要性、またこれに求められる役割や体制、権限などについて検討を深めていく。

 検討会の下部には、自治体、民間の二つのワーキンググループを設置する。9月頃までに二つのワーキンググループでそれぞれ2回の会合を持ち、専門的な視点からモニタリングのあり方やこれを担う第三者機関のあり方について検討を深める。12月頃までに取りまとめを終える。

 検討会の冒頭あいさつに立った岡久宏史理事長は「中立的な立場から公平公正に適切に実施をする、モニタリングを行う第三者機関が必要ではないかと考えている」と述べ、活発な議論を望んだ。また浦上委員長は「(下水道の持続に向け)官民パートナーシップを結び、民間が遺憾なく能力、技術力を発揮できるよう、適切なモニタリングを考えていく」と力を込めた。

委員一覧

 【委員】浦上拓也近畿大学経営学部経営学科教授▽加藤裕之東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻特任准教授▽中沢宏司大船渡市上下水道部下水道課課長補佐▽佐々木健志宮城県企業局水道経営課技術副参事兼総括課長補佐▽枝川仁守谷市上下水道課長▽小泉雄司柏市上下水道局下水道工務課副参事▽本島慎也三浦市上下水道部長▽鈴木克己浜松市上下水道部下水道施設課長▽佐野和史富士市上下水道部下水道施設維持課長▽大野明須崎市上下水道課長▽本田悟ウォーターエージェンシー執行役員営業企画室長▽京才俊生ヴェオリア・ジェネッツ官需事業開発本部長▽大久保忠彦奥村組投資開発事業本部担当部長▽小海健管清工業執行役員東京本部公共事業部長▽竹久和祥クボタ水環境ソリューション開発部官民連携事業推進課長▽山内一晃水ingエンジニアリング事業本部事業企画室上級エキスパート▽田中俊介積水化学工業環境・ライフラインカンパニー官需事業企画開発室PPP・PFI推進グループ長▽山口乃理夫東亜グラウト工業社長▽大塚淳前田建設工業経営革新本部上下水道担当ディレクター▽児島憲治メタウォーター営業本部長

 【オブザーバー】多田佐和子国土交通省水管理・国土保全局上下水道企画課上下水道政策企画官兼管理企画指導室長▽新井智明日本下水道事業団ソリューション推進部上席調査役▽泉谷信夫日本下水道新技術機構研究第二部長


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