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2023年75日 (水) 版

雨水対策の効果学ぶ 極東技工、雨水貯留施設を視察 マイクリップに追加

 極東技工コンサルタント(村岡基社長)は5月23日、高槻市の安満遺跡公園内雨水貯留施設でフィールド研修(現地視察、写真)を開催。同社の営業部、大阪技術本部の若手を中心に11人の社員が参加し、高槻市都市創造部下水河川事業課の職員が対応した。

 同社では、社員の資質向上と業務の品質向上を目指し、各種の「人財」教育プログラムを実施している。うちフィールド研修は、上下水道施設の建設工事施工状況や稼働状況を視察し、計画・設計、建設工事、維持管理をはじめ、事業効果について見聞を広め、社員の技術力向上につなげることがねらい。

 高槻市では、平成24年8月にそれまで経験したことのない集中豪雨によって甚大な浸水被害が発生したことから、27年に「高槻市総合雨水対策アクションプラン」を策定。プランは、従来の下水道計画降雨量48mm/時に対し、既往最大降雨量110mm/時を整備基準としており、市はプランに基づき、雨水貯留施設や雨水流出抑制施設などのハード対策やハザードマップの全戸配布による啓発活動などのソフト対策などに取り組んできた。

 安満遺跡公園内雨水貯留施設は、市の東排水分区(Aブロック)のハード対策として整備した施設(容量2万㎥)で、29年度に完成した。同施設は時間降雨量56mmを観測した令和3年8月の集中豪雨では1300㎥を貯留し、床下浸水など家屋被害はなく、雨水浸水による被害を軽減する効果を発揮した。

 研修ではまず、市担当者がアクションプランの策定に至った背景や計画内容、そして当該施設の概要について動画を交えて説明。続いて現地では、雨水貯留施設入口マンホールの蓋を開ける作業を市職員指導の下で参加者全員が実践した。酸素・硫化水素の濃度測定にて安全を確認した後、施設内での酸素・硫化水素の濃度測定により安全を確認し、順次施設内に降りた。

 施設内では、土木構造物の工法選定と建設過程、貯留水の排水時を考慮した施設床面勾配、堰とゲートによる雨水貯留と放流の仕組みなどについて詳細説明を受けた。参加者はヘッドライトを装着したヘルメットと長靴を装備し、施設内の暗部を含めた空間を踏査した。

 質疑応答では、参加者が「アクションプランで位置付けた雨水貯留施設以外の雨水流出抑制施設の内容は」などの質問を寄せ、市担当者は「公園で堀を整備し雨水流出抑制施設とした」などと具体的に回答した。


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