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2023年517日 (水) 版

令和4年度土木学会賞、浸水対策2現場に技術賞 名古屋・東京のシールド工で マイクリップに追加

  • 特異な地下水流に対応した薬液注入工と凍結工の二重管方式および難凍結性加泥材による地中ビット交換
  • 地中障害物の切断掘進と近接構造物の防護改良および親子シールド機により輻輳した都市部の地下に下水道管きょを構築~DOーJet工法、親子シールド工法の適用~
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  • 特異な地下水流に対応した薬液注入工と凍結工の二重管方式および難凍結性加泥材による地中ビット交換
  • 地中障害物の切断掘進と近接構造物の防護改良および親子シールド機により輻輳した都市部の地下に下水道管きょを構築~DOーJet工法、親子シールド工法の適用~

 令和4年度の土木学会賞の各賞が15日発表された。画期的な個別技術に授与される技術賞Ⅰグループには、大成建設名古屋支店名古屋中央雨水幹線下水道築造工事作業所が関わった「特異な地下水流に対応した薬液注入工と凍結工の二重管方式および難凍結性加泥材による地中ビット交換」、東京都下水道局第一基幹施設再構築事務所と鹿島建設東京土木支店が関わった「地中障害物の切断掘進と近接構造物の防護改良および親子シールド機により輻輳した都市部の地下に下水道管きょを構築~DOーJet工法、親子シールド工法の適用~」がそれぞれ選ばれた。

 また、先進的な土木工学的研究に授与される環境賞Ⅰグループに西松建設、タックが手掛けた「土質変化に対応する泥水二次処理剤自動添加システムの開発と実用化~自動化・見える化で環境負荷低減とコスト縮減を実現~」が選ばれた。

 大成建設の受賞案件の現場は、名古屋駅周辺の浸水被害軽減などを目的に名古屋市上下水道局が発注した工事。泥土圧式シールド工法で、地下40mもの大深度に内径5.75m、延長5kmに及ぶ大規模な雨水調整池を築造した。地盤補強の一環として凍結工法が採用されたものの、凍結限界流速を大幅に上回る地下水流速が観測される難現場となった。

 その対策として同社では、世界初となる薬液注入と凍結工の二重管方式を開発。これにより大幅な工期短縮を実現した。また、工事では2地点でカッタービットの地中交換が必要となったため、その合理化を図るために難凍結性加泥材も開発した。こうした点が今後のシールド工法や凍結技術の発展に大いに寄与すると評価された。

 東京都下水道局らの受賞案件の現場は、浸水被害の軽減を目的にした延長約2kmの雨水幹線の築造工事。施工に当たっては泥土圧式シールド工法を採用した。現場となった地中内にはH鋼材を芯材とするPIP杭が数多く残置されており、これとの支障が懸念されたため、高圧噴射切削ノズルを搭載したDOーJet工法を採用。同工法では、PIP杭を切断した実績がなかったため、事前に模擬切断実験を行い、その結果を施工管理にフィードバック。周辺構造物に悪影響を与えることなく無事施工を完了した。

 また、内径の異なる雨水幹線を築造するため、過去最大断面の親子シールド機での施工を行った。支障物の切断手法への技術的知見を得られた点や、さまざまな特殊条件を克服した点などが評価された。

 西松建設らの研究は、シールド工法で発生する二次処理土の削減を図ったもの。従来、手動で行われていた凝集剤の添加を自動化し、作業員の習熟度にかかわらず安定した処理を可能にした。

 このほか、本紙関係分は次の通り。

 【功績賞】谷口博昭建設業技術者センター理事長、芝浦工業大学客員教授▽安田進東京電機大学総合研究所客員教授【吉田賞】施工性に着目したコンクリート構造物の品質向上に関する研究(宇治公隆東京都立大学名誉教授)


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