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2022年1228日 (水) 版

大阪市海老江PFI現場を視察 極東技工、創意工夫に触れ学ぶ マイクリップに追加

配管廊内を視察する研修参加者

 大阪市の海老江下水処理場で現在進められている改築更新事業の現場に、極東技工コンサルタント(村岡基社長)の若手社員らがフィールド研修の一環で訪問。現場での創意工夫を学び実務者としての目を養った。

 同処理場では西側の高見地区の施設(2系)を除く創設当初から稼働している東側の海老江地区の施設(1系)は老朽化が進んでおり、かつ耐震性の確保や高度処理の導入、合流改善対策の推進が求められていた。大阪市ではPFI法に基づいたPFI事業として改築更新事業を実施。事業方式は、事業者が水処理施設を整備後に所有権を市に移転し、2年間の性能評価検証業務を履行後、保全管理業務を実施するBTM方式。

 大成建設・海老江下水処理場改築更新事業作業所の中野文裕現場代理人・監理技術者が、事業全体および1系施設の更新施設として現在整備している3系Ⅰ期水処理施設(施設能力7万7000㎥)のうち、同社が担当している建築・土木工事を紹介。

 従来、ポンプ棟から1系水処理施設に送っていた合流下水を3系水処理施設に切り替えて送る配管廊はシールド工法にて施工。当初はR=50の急曲線部を有する線形だったが、阪神高速の影響範囲を避けるとともに、急曲線部のセグメントのリスクを回避するため、線形を変更して設計。中野氏は「PFIのメリットを生かした試みでは」と話す。

 セグメントの一部には、普通セメントの代わりに高炉スラグ等を混合した「セメント・ゼロ型」の環境配慮コンクリートで製造したセグメントを国内で初めて採用。製造過程で排出するCO2を約73%削減できるという。

 続いて、水処理施設の工事を担当するメタウォーターのプラントエンジニアリング事業本部水再生技術部第二グループの岩崎有華係長が説明。3系Ⅰ期水処理施設は、前段に高速ろ過設備、後段に膜分離活性汚泥法(MBR)と嫌気無酸素好気法(A2O法)を併用するハイブリッド処理方式を採用。晴天時は、MBR45%、A2O55%の割合で処理するが、雨天時には大阪市が長年培ってきた技術「3W処理法」に基づき、A2O系列への流入下水のうち晴天時時間最大汚水量(1Qsh)分を晴天時と同様に処理し、2Qsh分をA20系の反応槽の後段に投入し、MBR30%、A2O70%の割合で処理する運転を行う。

 研修参加者は、水処理施設や配管廊等の工事現場を視察した後、工事担当者に質問し、担当者が回答。「PFI事業では、どのような点を民間側のメリットと感じるか」「設計で重視した点は」「性能評価ではどこに留意しているか」など、実務の視点からさまざまな質問が寄せられた。


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