関心高い3テーマで講演 技術士会中国本部上下水道部会、最新の知見を共有 マイクリップに追加
日本技術士会中国本部上下水道部会(若岡信利部会長)は、全国上下水道コンサルタント協会中国・四国支部との共催で広島市内を主会場として2022年度例会・講演会を開催した。鳥取県・島根県にも遠隔視聴できる会場を設けるとともに、東京の統括本部からもWeb配信し、合わせて約110人が聴講した。
今回の講演会は、下水道資源の利活用、浸水対策、管路管理と特に関心が集まっている3テーマで講演があった。
若岡部会長は冒頭、「講演はいずれも興味深い内容と確信しており、実り多い講演会になれば」とあいさつした。
基調講演として、鳥取大学工学部の高部祐剛准教授が「下水資源を利用した微細藻類培養による再生可能エネルギーの創出」と題し講演。下水処理水や消化脱離液等を用いた微細藻類培養の培養手法には、特定微細藻類の培養と土着藻類の培養の二つの流れがあるとした上で、二次処理水を用いた土着藻類培養を紹介。
4通りのCO2の供給量で実施した藻類の培養実験における結果を解説した。
広島県西部建設事務所の北山忍次長(元企業局流域下水道課長)が「広島県の流域下水道施設における浸水対策」と題し、昨年度で完了した3浄化センターと1中継ポンプ場における浸水対策事業を紹介。
同県は干満の差が大きいことに加えて、港の地形から台風の吹寄せを受けやすいため、津波よりも高潮による影響が大きいとして、施設を防潮堤で囲むといった高潮を対象とした浸水対策の実施状況を話した。
管清工業本社技術部の深谷渉部長は「下水道管路の調査・点検技術の動向」と題し、管路管理に関する取組みや技術進化の説明を行いつつ、今後の展望として、AIの画像認識による自動異常判定や管路データを用いた劣化予測のさらなる進化、地上の作業のみで完結できる作業性や安全性を第一に考えた無人化技術、AI活用した省力化技術、IoTやセンサを駆使した遠隔・リアルタイム監視技術等の活用による技術発展に期待を寄せた。