下水道・水道一体所掌へ 令和6年度から、水道行政 国交省に移管 マイクリップに追加
政府は2日、厚生労働省水道課が所管する水道行政の大部分を国土交通省に移管する方針を決めた。令和6年4月の移管を目指し、来年1月招集の次期通常国会に関連法案が提出される見込み。国交省内の移管先は、水管理・国土保全局が有力視されている。水道水質基準など一部業務は環境省へ移管される。7日午後には、自民党の下水道、水道双方の議員連盟総会が相次いで開かれ、関係団体が出席する中、国交省が一体で所掌する下水道・水道行政について意見を交わした。
2日午前に開かれた政府の新型コロナウイルス感染症対策本部(本部長=岸田文雄首相)の会合で方針がまとまった。6月の会合では「感染症対応能力を強化するための厚生労働省の組織の見直し」を次の感染症危機に備えるための柱の一つとして位置付けていた。会合のまとめに当たり、岸田首相は「必要な法律案の準備を進めるなど取組みを加速していただくようお願いする」と述べた。
本部会合が決定した「新型コロナウイルス感染症に関するこれまでの取組を踏まえた次の感染症危機に備えるための対応の具体策」では、国交省への水道整備・管理行政の移管方針について明記されている。この中では「水道事業の経営基盤強化、老朽化や耐震化への対応、災害発生時における早急な復旧支援、渇水への対応等」について国交省の「施設整備や下水道運営、災害対応に関する能力・知見、層の厚い地方組織を活用し、水道整備・管理行政を一元的に担当することで、そのパフォーマンスの一層の向上を図る」としている。なお、水質基準の策定や水質・衛生に関わる一部業務については環境省に移管することも示された。
国交省への移管後の組織体制については、「これからの検討。令和6年度の組織要求に向けて検討していくことになる」(同省大臣官房総務課)としている。
国交省の斉藤鉄夫大臣も6日の記者会見で、「水道整備・管理行政のパフォーマンスの一層の向上を図るため、令和6年度に予定されている事務の移管に向けて、厚生労働省・環境省とも適切に連携し、準備を進める」としつつ、組織体制については「(両省と)連携しながら、その議論も踏まえて準備を進めていきたい」と述べるにとどめた。
ただ、多くの地方公共団体で水道事業と下水道事業を同一の部署で所管している状況などを踏まえ、水管理・国土保全局の下水道行政と一体で所掌する方針で調整が進むことが有力視されている。
「行って良かったと言われるように」
国土交通省水管理・国土保全局の岡村次郎局長は2日午後に行われた建設専門紙の共同インタビューで、同省に移管される水道行政について「国交省に行って良かったと言われるようにしたい」と応じた。
岡村局長は、水道事業と下水道事業を一体的に行っている地方公共団体も多いことに触れつつ、国交省へと水道行政を移管することについて、「移管したことがプラスになったと言われなければならない。10年、20年が経った時に、国交省に行って良かったと言われるようにしたい」と述べた。