日本下水道新聞 電子版

2022年413日 (水) 版 PDF版で読む 別の日付を表示
2022年413日 (水) 版 別の日付を表示 PDF版で読む

長期包括でコスト縮減 CWO 経営戦略・中期計画、無二の強みをブランドに マイクリップに追加

 クリアウォーターOSAKA(CWO)は「CWO経営戦略2022」および「CWO中期経営計画2022ー2026」を策定・公表した。大阪市での行政経験や下水道施設のトータルの運転・維持管理のノウハウといった独自の強み(コアコンピタンス)によって他企業との差別化を図りつつ、O&Mを担う人材の高齢化・減少といった現状の弱みを、技術ノウハウの継承・発展やDX導入によって強みに転換し、CWOブランドの確立を図る。さらに、大阪市域外業務を拡大させ経営の一層の効率化を図りながら、全国をリードしつつ、唯一無二の水メジャー企業を目指す。

 CWOは、大阪市下水道事業の上下分離という大阪市の大規模な経営改革により平成28年に設立し、5年の節目を迎えた。この間、多様な雇用形態の進捗による売上原価抑制や計画を上回る市域外業務の獲得により、期間中いずれの年度においても計画を大幅に上回る純利益を達成。通期では計画の1400万円に対し1億3000万円の純利益を達成した。

 令和4年度からは新たに20年間の大阪市包括委託業務を開始し、期間中に従来手法と比較して320億円のコスト縮減を達成する目標を掲げている。また、昨年末に大阪府・大阪市が共同で策定した「大阪府市下水道ビジョン」においても、府内市町村の下水道事業持続に向けて、CWOが行政補完団体として支援業務に当たることが明記されている。

 経営戦略では、管路から下水処理場まで施設のトータルの運転・維持管理を行える経験・ノウハウ、下水道事業の企画立案・政策形成、事業全体のサポート力、老朽化施設に対応するスキル・ノウハウの集積といったコアコンピタンスによりCWOブランドを確立し、自治体側に技術が継承されるような運営支援を行うほか、より小規模な自治体のニーズへの対応力も培っていく。

 また、施策推進のための組織体制強化も図る。人材・技術・情報の社内リソースを最大限に活用するため、社内に下水道人材開発センター、ナレッジセンター、下水道技術研究所、下水道DXセンターを新たに設置。暗黙知化したベテラン社員の維持管理の技術やノウハウを形式知化して社内の若手社員や外部に提供し、人材育成等に活用するとともに、そのニーズ・シーズを他企業も含めた産官学に提供しさらに発展させることで、新技術の開発等のフィードバックにつなげたい考え。同社経営企画部の担当者は「CWOは現場の経験・ノウハウだけでなく、大阪市の下水道施設という広大な実証フィールドを有している。他企業や研究機関、大阪府外の自治体にも当社を連携拠点として利用してもらい、効率的な維持管理に資する技術開発につながれば」としている。

 中期計画では、計画期間の5カ年で技術開発・新技術導入に30億円、生産性向上・技術継承に5億円の投資を行う計画としている。

 同担当者は「当社は設立からまだ5年の若い企業でありながら、現場を知り尽くしているという二面性を持つ。この唯一無二の強みを活かして、下水道事業のトータルマネジメントを目指していきたい」と話した。


この記事を見た人はこんな記事も見ています

地方行政の過去記事一覧

×
ようこそ、ゲストさん。
新規会員登録 ログイン 日本下水道新聞 電子版について