岡山県で試験洗浄 アイスピグ、農水管対象は2例目 マイクリップに追加
岡山県が造成した農業用水管を対象に、アイスピグ管内洗浄工法による試験洗浄が実施された。県内では4件目の洗浄実績だが、農水分野としては全国2例目、西日本で初。洗浄作業は、因幡環境整備と東亜グラウト工業の共同企業体が実施した。
洗浄対象のパイプラインは、岡山市南区の藤田地区内にあるφ250×515mの塩ビ管。送水時の圧力低下が見られていたことから、岡山県では試験洗浄箇所としてフィールドを提供した。
パイプラインを流れる農業用水は、河川から取水した水を一旦水槽内に貯水し、その後、高低差を利用して農地へと圧送している。除塵機にて大まかなごみを除去しているが、砂等の細かな夾雑物が伏越し部などに堆積していることが送水圧力低下の要因の一つではと推定された。
試験洗浄は1月中旬に実施された。製氷拠点で製造した4.4㎥分の特殊アイスシャーベットをデリバリーユニット(車輌)で現地に運搬するとともに、パイプラインの空気弁を改良し注入口と回収口を確保。作業の流れとしては含氷率を測定した後、パイプライン内に特殊アイスシャーベットを注入、送水により回収口側へ押し流すことで管内洗浄を試みた。注入開始から1時間ほどでシャーベットを全量回収した。回収口に到達したシャーベットは灰色かつ砂などの夾雑物を包み込んだ状態で回収された。洗浄作業による圧力改善効果は、水耕が本格化する6月ごろに確認できるという。
アイスピグ管内洗浄工法は、特殊アイスシャーベットを用いた管内洗浄技術。水・氷という固液双方の特性を活かし、管形状に自在に追従しつつ夾雑物を除去できるもので、伏越し管にも適用可能なほか、万が一の管閉塞の恐れがないのが特長。塩分・水温を回収口でモニタリングする専用装置により洗浄・回収工程を管理するシステムも取り入れている。上下水道分野で200件超、洗浄距離約110kmの実績があるが、石川県内の農業用配管での洗浄実績をはじめ農水分野でも引き合いが増えており、活躍領域を広げつつある。