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管路包括業務を実施 鶴岡市、受託者が正式に決定 マイクリップに追加

令和4~8年度 5年契約で締結

 鶴岡市は、「下水道管路施設等包括的維持管理業務」における公募型プロポーザルで東北環境開発(代表企業)、庄内環境衛生事業、理水、管清工業、NJSで構成する「鶴岡下水道メンテナンス共同企業体」を受託者に決定した。公共下水道(整備面積3168.3ha)および集落排水(1322.6ha)を対象施設とする下水道管路施設とマンホールポンプ施設の維持管理業務を一括して令和4~8年度の5年契約で委託する。昨年12月28日、6億4550万円(税抜)で同企業体と契約を締結した。

 同市の下水道管路施設は、管きょが約1036km、マンホールが約2.9万基、取付管が約5万カ所。今後10年後以降、急速に老朽化が進行することが見込まれているほか、約20年後には布設後50年以上経過した管きょが全体の12%に増加するという。現に、老朽化等による腐食で破損が発生し管きょの閉塞や道路陥没等が発生している。

 このため、事後保全型対応や時間計画保全型対応を中心とした維持管理から「状態監視保全型対応」に転換し、▽老朽化施設の対策▽適切な維持管理の推進▽ストックマネジメントの実施――を進めている。

 同市では、人口減少・高齢化社会の到来による影響で、▽「人」職員数の減少(6割程度まで減少する予想)▽「モノ」老朽化施設の増加(10年後以降50年以上経過する管の増加)▽「カネ」厳しい経営環境―の問題が深刻化している。また、現職員体制の整理と将来予測により、今後5~10年で人員不足の顕在化、ベテラン職員の退職による技術力低下が見込まれている。

 民間事業者の技術力やノウハウ、創意工夫を最大限に活用することで、職員の負荷軽減や技術の継承、維持管理の効率化、老朽化対策、計画的な維持管理などの課題に対し、持続的かつ効果的・効率的に安定した下水道サービスを提供していくほか、重大事故の未然防止、ストックマネジメントの推進、市民サービスの向上を実現したい考え。

 包括的民間委託の導入により、計画、調査、修繕、維持管理といった複数の業務で単年契約していたものを複数年で一括発注することで、積算から作成・施工までの業務作業の軽減と一層の効率化を図る。

 一括発注にすることで、同市は事務手続軽減のほか、スケールメリットが働くことによる経費削減、安定した下水道サービスの提供を期待している。受託者には安定雇用や連携強化、技術力向上などが見込める。

 対象地域は同市内全域。対象業務は①計画的維持管理業務②緊急対応等業務③その他業務。同市は指示・調整を同企業体に行い、進捗・作業状況、成果報告等を受ける業務構成となっている。

 ①では、下水道管路施設(管きょ約1036km(自然流下管〈小口径〉約916km、同管〈大中口径〉約12km、圧送管約108km、マンホール約2.9万基)、マンホールポンプ施設413カ所を対象に▽巡視業務▽計画点検業務▽計画調査業務▽計画清掃業務▽マンホール計画点検等業務▽マンホールポンプ計画調査業務▽維持工事――を行う。東北環境開発、庄内環境衛生事業、理水の3社が担う予定。業務の履行期間中にも新規整備される年間約12kmの管きょ、年間約7カ所のマンホールポンプも対象として、ストックマネジメント計画で定めた優先順位に則って進めていく。

 ②では、住民からの事故通報等が発生した場合や、閉塞解消などの緊急性が求められる対応として、▽緊急初期対応業務▽緊急点検業務▽緊急調査業務▽緊急清掃業務▽マンホールポンプ緊急点検業務▽緊急修繕業務――に取り組むほか、広域または長時間の対応が必要となる自然災害が発生した際には、災害対応業務として同市の指示の下、対象施設の巡回点検も行う。東北環境開発、庄内環境衛生事業、理水の3社が担う予定。

 ③では、▽統括管理業務▽ストックマネジメント計画策定業務▽不明水調査業務▽台帳管理業務――を行う。

 統括管理業務は、業務全体を把握し、業務の進捗管理や関係機関との協議・調整をするとして、東北環境開発が担う予定。

 ストックマネジメント計画策定業務は、蓄積した維持管理情報を基にストックマネジメント計画を見直すとして、NJSが担う予定。

 不明水調査業務は、鶴岡処理区の中央地区と内川地区で不明水が発生していることから、管きょ内水位計測等による発生原因と発生エリアの絞り込み等で実態を把握し、対策の提案を管清工業が担う予定。

 台帳管理業務は、現地と既存下水道台帳データに相違があった際にデータを更新するとして、NJSが担う予定である。


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