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2022年119日 (水) 版

府市下水道ビジョン策定 大阪府・大阪市、市町村支援などで連携 マイクリップに追加

府市連携の方向性

50年先を見据えた事業実施の方向性

 大阪府と大阪市は12月24日、共同で「大阪府市下水道ビジョン」を策定・公表した。府市が協力して住民の安全・安心な暮らしを守るとともに、安定した下水道サービスの提供や下水道ストックの活用により社会に貢献していくために、50年先を見据えた今後30年の下水道事業実施の方向性について、住民に示すもの。府市共通の下水道ビジョンの策定は初。

 大阪府内の下水道普及率は96.8%(令和2年度末)に達し、概成した一方で、今後の人口減少による使用料収入の減少や施設老朽化による改築更新需要の増大など、経営環境は厳しさを増すことが想定される。

 府市共に共通の課題も多く抱える一方、府内の他市町村では担い手不足による事業の持続性や技術力継承への懸念、今後増大する老朽管きょといったより深刻な課題も抱えている。そこで、府市の強みを活かして府市の下水道事業の発展に寄与するとともに、府内市町村の下水道事業の持続性確保にも貢献し、府域全体の下水道事業の発展を目指す方向性をビジョンで示した。

 府市の下水道事業は全国的にも大きな強みを有する。大阪府は全国初の流域下水道事業に着手し、流域下水道としては全国最大規模の総投資額、総資産を有するほか、府内市町村とも日常的に行っているさまざまな技術支援や研修の実施等を通じて強固なネットワークを構築している。

 一方、大阪市は明治27年から近代的下水道事業に着手し、「雨天時下水活性汚泥処理法」(3W処理法)等独自の処理法を開発するなど高い技術力を培ってきた。加えて平成28年には上下分離方式を導入し、クリアウォーターOSAKA(CWO)を設立。29年からCWOへの市域全体の運転維持管理業務の包括委託を実施し、事業の大幅な効率化とコスト削減を実現した。

 主な連携の方向性としては、将来にわたる下水道の安定的な機能を保持するために府市共に官民連携を拡大するほか、市町村下水道の持続性確保に向けた支援に努める。

 具体的には「広域化・共同化計画」の策定に向けた取組みを引き続き進めるほか、これまで府が行ってきた市町村の公共下水道の計画策定・建設・改築事業の指導等を行うとともに、大阪市においても、公共下水道の管理運営のノウハウを活かし包括委託者であるCWOなどの行政補完組織を活用して、事業運営支援を行うこととしている。

 府都市整備部下水道室の担当者は、策定のポイントについて「下水道事業の重要性をなによりも住民に知ってもらうことが大切。用語集なども付しており、下水道事業の財源を使用料収入で賄う必要があることなどを広く、わかりやすく伝えられるよう工夫している」とコメントしている。


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