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水がまちづくりに一役 近畿膜処理技術勉強会、膜処理技術の未来とは  マイクリップに追加

 近畿膜処理技術勉強会は18日、下水道展'21大阪の併催企画「膜処理技術未来討論会」をインテックス大阪で開催。神戸大学先端膜工学研究センターの松山秀人センター長による特別講演のほか、今後の膜処理の利用拡大や未来の姿といったテーマによるパネルディスカッションを実施した。

 冒頭、JS日本下水道事業団の細川顕仁理事があいさつ。「近畿圏では2015年に福崎浄化センターでMBRの第1号が採用されて以来、堺市や大阪市などで特色ある活用がなされている。勉強会は、膜処理技術を一層高めていくために2018年に設立し、今回の討論会はその集大成ともいうべきもの。ともに時間を共有し、今後の業務に役立てていただければ」と期待を寄せた。

 松山センター長は「革新的水処理膜および水処理プロセスの開発に向けた同センターの取組み」と題し講演。逆浸透の原理など膜の基礎から、その作製方法について紹介。水処理分野でのメリットについては、最終沈殿池が不要となることにより水処理フローのコンパクト化が図れることなどを挙げた。一方、膜が目詰まりを起こす「ファウリング」現象も確認されており、初期性能を維持することは難しいという現状の課題についても共有した。ファウリングの抑制が難しい原因について、松山センター長は「ファウリングの発生には処理水・膜それぞれに多様な要因が存在し、普遍的にファウリングを理解するのが難しいことに問題がある」と指摘し、同センターで実施しているファウリング現象のシミュレーション等の研究内容を披露した。

 続くパネルディスカッションでは、大阪大学大学院の池道彦教授をコーディネーターに迎え、JS技術戦略部の橋本敏一部長、サントリープロダクツ天然水奥大山ブナの森工場エンジニアリング部門の楠見真隆課長、クリアウォーターOSAKAの城居宏常務取締役、東北大学大学院の佐野大輔教授、松山センター長の6人のパネリストで議論を展開。市民から水が遠い存在となっているという問題意識のもと、水をまちづくりの中核にするために、再生水利用などでMBRが重要な位置を占めることになるなど、膜処理の利用拡大に向けた新しい可能性が示唆された。


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