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「大阪市下水道、この50年」 下水道研究発表会、福井元局長が講演 マイクリップに追加

 日本下水道協会は17日、第58回下水道研究発表会のスタートを飾る特別講演「大阪市下水道、この50年~万博から万博へ~」を、市内ATCで開催した。

 講師は元大阪市建設局長で、前クリアウォーターOSAKA代表取締役の福井聡氏。福井氏は、高度経済成長期の1970年に大阪で開催された日本万国博覧会以降に生じた、大阪市下水道の新たな課題と将来への対応について解説を行った。

 福井氏は4年後の2025年に迫った大阪・関西万博に期待を示しつつ、背割下水(太閤下水)や大正から昭和初期における市街の発展に伴う下水道整備を振り返り、「都市計画法における受益者負担金制度の適用や、下水道使用料制度の創設など、大阪市はいち早く先進的な施策を行ってきた」と強調。

 1970年代に面整備が概成した後の施策として「浸水対策、合流改善、老朽化対策が課題となった」と述べつつ、昭和57年8月の浸水被害が契機となって訴訟が起こったというトピックを紹介。雨水幹線やポンプ場の増設のうち象徴的なものとして、平成12年から供用を開始した「なにわ大放水路」を壮大な事業だと強調。合流改善では、既存施設を最大限に活用した、大阪市独自の手法である雨天時活性汚泥法(3W法)を「未処理下水の流出防止のため、最終沈殿池の設計が極めて重要」と力説した。

 このほか、平成の太閤下水や膜分離活性汚泥法(MBR)処理水の河川導水など最新技術の導入事例にも言及。「下水道の可能性が未来社会をデザインする。官民が一体となった、下水道事業の持続的な発展に期待する」と述べ講演を締めくくった。


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